この記事の結論

M1・M2・M3・M4・M5・M6のApple Silicon全世代を、CPU/GPUコア数・メモリ帯域・最大メモリなどApple公式仕様で比較。ローカルLLM・AI用途で選ぶべきチップとMac mini/Mac Studioの構成を解説します。

Apple Siliconの世代と特徴 — M1からM6まで

2020年のM1登場以来、AppleはMac miniとMac Studioのチップを世代ごとに刷新してきました。2026年8月25日には最新のM6・M5 Pro(Mac mini)とM5 Max・M5 Ultra(Mac Studio)が発表され、2026年9月22日に発売されています。AI推論(ローカルLLM)という観点で、各世代の特徴を整理しておきましょう。

  • M1世代(2020〜2021年):Apple Siliconの初代。CPU・GPU・Neural Engineを1チップに統合し、Unified Memoryの考え方を確立しました。最大メモリはM1 Ultraで128GB。
  • M2世代(2022〜2023年):M2 Ultraで最大192GBメモリ・800GB/sのメモリ帯域幅を実現し、AI推論性能でM1世代を大きく上回りました。
  • M3世代(2023〜2024年):Mac miniには採用されず、Mac StudioはM3 Ultraのみを採用した世代です。グラフィック性能の向上が主眼で、メモリ帯域幅の伸びは限定的でした。
  • M4世代(2024〜2025年):Neural Engineを38コアに強化。M4 Maxは546GB/sのメモリ帯域幅を持ち、M2 Ultra(800GB/s)には及ばないものの高いコストパフォーマンスを実現しました。
  • M6・M5世代(2026年8月25日発表):Mac miniは12コアCPU・12コアGPUのM6(最大170GB/s)と、最大18コアCPU・20コアGPUのM5 Pro(307GB/s)の2系統に刷新。Mac Studioは最大40コアGPUのM5 Max(614GB/s)と、最大80コアGPU・512GBメモリのM5 Ultra(1.2TB/s)の2系統になりました(出典:Apple Newsroom 2026年8月25日発表・Apple公式仕様ページ2026年9月10日時点)。

「世代よりもグレード(Pro/Max/Ultra)の方が推論速度への影響が大きい」という原則は今も変わりません。新しいM6(170GB/s)は、旧世代のM1 Max・M2 Max(いずれも400GB/s)にメモリ帯域幅で及ばず、Mac miniの新世代がすべての面で旧世代のMac Studioを上回るわけではない点に注意してください。

フルスペック比較表 — M1からM6まで全15構成

Apple Mチップの性能比較でまず見るべき指標は「メモリ帯域幅」です。AI推論に関わる主要スペックを、M1からM6まで全15構成で一覧にしました(新世代の4行はハイライトしています)。

チップ最大メモリメモリ帯域幅GPU コア数Neural Engine
M116GB68.25 GB/s7〜8コア16コア
M1 Pro32GB200 GB/s14〜16コア16コア
M1 Max64GB400 GB/s24〜32コア16コア
M1 Ultra128GB800 GB/s48〜64コア32コア
M224GB100 GB/s8〜10コア16コア
M2 Pro32GB200 GB/s16〜19コア16コア
M2 Max96GB400 GB/s30〜38コア16コア
M2 Ultra192GB800 GB/s60〜76コア32コア
M432GB120 GB/s10コア38コア
M4 Pro64GB273 GB/s20コア38コア
M4 Max128GB546 GB/s40コア38コア
M6(新・Mac mini)32GB153〜170 GB/s12コア16コア×2
M5 Pro(新・Mac mini)64GB307 GB/s16〜20コア16コア
M5 Max(新・Mac Studio)128GB460〜614 GB/s32〜40コア16コア
M5 Ultra(新・Mac Studio)512GB1.2 TB/s64〜80コア32コア

M6の「16コア×2」は、Appleが「デュアル16コアNeural Engine」と発表している構成です(Apple Newsroom 2026年8月25日)。M5 Pro・M5 Max・M5 Ultraの数値は、Mac mini仕様ページMac Studio仕様ページ(いずれも2026年9月10日時点)に掲載されている構成別の最大値です。

旧版の本記事では「M4 Ultraは2025年後半に登場見込み」としていましたが、実際にはM4 UltraはMac Studioに搭載されないまま、上位チップはM3 UltraからM5 Ultraへ直接切り替わりました(Apple Newsroomの発表文はM5 Ultraの性能を「M3 Ultra比」で説明しています)。2026年9月10日時点で、AI推論における最大メモリ・最大帯域幅の両方でトップに立つのはM5 Ultra(512GB/1.2TB/s)です。

AI推論速度の実測比較 — トークン/秒で見る実力

Ollama + Llama-3.1-8B(Q4_K_M量子化)を使った場合の実測推論速度(tokens/sec)の目安です。値はコミュニティベンチマークの平均的な結果です。

チップメモリ8B Q4 (t/s)70B Q4 (t/s)備考
M116GB約2870Bはメモリ不足
M1 Pro32GB約5570Bはメモリ不足
M1 Max64GB約95約870Bはギリギリ動作
M1 Ultra128GB約175約18快適
M224GB約3870Bはメモリ不足
M2 Pro32GB約6270Bはメモリ不足
M2 Max96GB約110約12快適
M2 Ultra192GB約185約22最速・快適
M432GB約5570Bはメモリ不足
M4 Pro64GB約90約10動作可能
M4 Max128GB約160約20快適

人間が読める速度(約15〜20 tokens/sec)を基準にすると、M1 Max以上のチップで8Bモデルを動かせばストレスなく使用できます。70Bモデルを快適に扱いたい場合はM1 Ultra/M2 Max以上が必要です。M6・M5 Pro・M5 Max・M5 Ultraは2026年9月22日発売のため、本記事執筆時点(2026年9月10日)ではOllama等の実測ベンチマークがまだ公開されていません。理論上の目安は後述の「メモリ帯域幅が推論速度を決める仕組み」で計算式とともに示します。実測値が集まり次第、本セクションに追記します。

新品・整備済製品の価格早見表 — Apple公式(2026年9月10日時点)

中古相場は出品状況で変動するため、まずApple公式で確認できる「新品」と「整備済製品」の価格を押さえておきます。数値はすべてApple公式ページ・Apple Newsroomから2026年9月10日に確認したものです。

チップ製品価格(税込)入手経路
M6Mac mini149,800円〜(学生・教職員132,800円〜)新品(現行モデル)
M5 ProMac mini299,800円〜(学生・教職員281,800円〜)新品(現行モデル)
M5 MaxMac Studio419,800円〜(学生・教職員385,800円〜)新品(現行モデル)
M5 UltraMac Studio949,800円〜(学生・教職員880,800円〜)新品(512GB構成は2026年10月後半追加予定)
M4 ProMac mini(14コアCPU・20コアGPU)329,800円〜Apple整備済製品(在庫は変動)
M3 UltraMac Studio(32コアCPU・80コアGPU)976,800円〜Apple整備済製品(在庫は変動)

出典:Apple Newsroom(Mac mini・2026年8月25日)Apple Newsroom(Mac Studio・2026年8月25日)Apple整備済製品ストア(2026年9月10日時点の掲載構成)。

M1系・M2系・M4無印・M4 Maxは、2026年9月10日時点でApple公式の新品・整備済製品どちらの取り扱いもありません。中古の実勢価格は商品一覧でご確認ください。世代・構成別の中古の選び方はMac Studio中古の選び方Mac mini M4 中古32GBの選び方に整理していますので、同じ表はここでは繰り返さずリンク先をご覧ください。

用途別チップ選び — 結論まとめ

スペック比較と価格を踏まえて、用途別のおすすめチップをまとめます。新品で保証が欲しいか、中古でコスパを取るかで選択肢が変わります。

入門・お試しには中古のM1またはM2(16〜24GB)

中古のみの入手になりますが、7Bクラスのモデルで基本的なローカルAI体験ができます。「まずOllamaを試してみたい」というニーズに応えます。将来のモデル大型化への対応力は低いため、長期の主力機には不向きです。実勢価格は商品一覧で確認してください。

常時稼働のAIエージェント機にはM6 Mac miniか中古M1 Max

新品で保証・静音・省電力を優先するならM6 Mac mini(32GB・153〜170GB/s)。メモリ帯域幅を優先するなら中古のM1 Max(64GB・400GB/s)の方が8Bモデルの推論は速くなります。消費電力や排熱の考え方はMac miniの消費電力と排熱で解説しています。

バランス重視ならM5 Pro Mac mini(64GB)

307GB/sの帯域幅と最大64GBのメモリを備え、新品保証付きで13B〜30Bクラスのモデルを動かせる構成です。アプリ開発やクリエイティブ用途と両立させたい場合に適しています。

本格的なローカルLLM開発にはM5 Max/M5 Ultra Mac Studio

M5 Max(最大128GB・614GB/s)は70B級モデルの量子化版を新品で動かせる現行最上位のバランス機。複数モデルの並列実行や量子化なしの大型モデルを狙うなら、512GBメモリ・1.2TB/sのM5 Ultraが選択肢になります。必要なメモリ容量の目安はローカルLLMに必須のメモリ容量で計算式付きで解説しています。

M4 Pro・M4 Max — 中古・整備済製品で狙う世代

2024〜2025年に登場したM4世代は、Neural Engineが38コアに強化された世代です。Mac miniの新品ラインナップはM6・M5 Proに切り替わったため、M4世代は現在、整備済製品または中古での入手が中心になります。

M4 Pro — Apple整備済製品でも入手できるバランス型

M4 Proは最大64GBのUnified Memoryと273GB/sのメモリ帯域幅を持ちます(Apple公式仕様)。2026年9月10日時点、14コアCPU・20コアGPU構成のMac mini M4 ProがApple整備済製品ストアに329,800円〜で掲載されており、7B〜13Bモデルを快適に動かせる実用的な選択肢です。

M1 Max(400GB/s)と比較するとメモリ帯域幅では劣りますが、Neural Engineの世代差とCPU/GPUの効率改善により、モデルによっては実際の推論速度がM1 Maxに近い水準に達するとコミュニティベンチマークで報告されています。

M4 Max — 大容量メモリ×高帯域だった前々世代の本命

M4 Maxは最大128GBのUnified Memoryと546GB/sのメモリ帯域幅を実現していました(Apple公式仕様)。2026年9月10日時点でApple整備済製品ストアには掲載がなく、入手は中古のみです。70Bモデルの量子化版を十分な速度で動かせる世代として、今も中古市場で人気があります。

M6・M5 Pro・M5 Max・M5 Ultra — 新世代の仕様と選び方

2026年8月25日に発表され、9月22日に発売された最新世代です。BTO(構成変更)でメモリ帯域幅そのものが変わる構成があるため、注文時の選択に注意が必要です。

チップ標準構成上位BTO構成メモリ帯域幅の変化
M612コアCPU・12コアGPU・16GBメモリ24GB/32GBへ変更153GB/sから170GB/sへ
M5 Pro15コアCPU・16コアGPU・24GB18コアCPU・20コアGPUへ変更307GB/sのまま変化なし
M5 Max18コアCPU・32コアGPU・36GB40コアGPU・最大128GBへ変更460GB/sから614GB/sへ
M5 Ultra30コアCPU・64コアGPU・96GB36コアCPU・80コアGPU・最大512GBへ変更1.2TB/sのまま変化なし

出典:Mac mini仕様ページMac Studio仕様ページ(いずれも2026年9月10日時点)。

M6 — 超小型AIエージェント機の新標準

M6はMac miniとしては初めて各GPUコアにNeural Acceleratorを搭載し、Apple Newsroomの発表では前世代のM4搭載Mac miniと比べて最大4倍高速なAIパフォーマンスをうたっています。標準メモリは16GB、最大32GBまでのBTOに対応。常時稼働のデスクサイド機として、消費電力や静音性を重視する用途に向いています。

M5 Pro — 超コンパクトなプロ用途の選択肢

M5 Proは最大18コアCPU・20コアGPUを備え、307GB/sのメモリ帯域幅と最大64GBのUnified Memoryに対応します。M4 Pro(273GB/s・最大64GB)からの帯域幅の伸びは限定的ですが、GPUコアへのNeural Acceleratorの搭載でAI演算性能が向上しています。

M5 Max — 新品で買える中で最も帯域幅の高いバランス機

M5 Maxは標準構成で460GB/s、40コアGPUを選択するBTOで614GB/sに達します。最大128GBのUnified Memoryと組み合わせることで、70B級モデルの量子化版を新品保証付きで動かせる唯一の現行モデルです。

M5 Ultra — 512GBメモリでフロンティアモデルに対応

M5 Ultraは最大80コアGPU・512GBのUnified Memory・1.2TB/sのメモリ帯域幅を備えます。Apple Newsroomによれば、M3 Ultra比で最大4.3倍のピーク時AI演算性能を実現するとされています。512GBメモリ構成は2026年10月後半に追加予定で、9月22日時点の初期出荷は256GBまでの構成が中心です。

Apple Silicon メモリ帯域幅が推論速度を決める仕組み

なぜ「メモリ帯域幅」がローカルLLMの速度を左右するのか、技術的な仕組みを解説します。

LLMの推論処理は、モデルの重みパラメータをメモリから読み出してGPUコアで行列演算を行う、というサイクルの繰り返しです。1トークンを生成するたびにモデル全体のパラメータを1回読み出す必要があるため、推論速度のボトルネックは演算能力ではなくメモリからのデータ読み出し速度、つまりメモリ帯域幅になります。これを「メモリバウンド」と呼びます。簡易的には以下の計算で推論速度の理論上限を見積もれます。

推論速度の理論上限(tok/s)≈ メモリ帯域幅(GB/s)÷ モデルサイズ(GB)

例えば、M1 Max(400GB/s)でLlama 3.1 8B Q4(約4.5GB)を動かす場合、400 ÷ 4.5 ≈ 89 tok/s(理論上限)となり、実測値の約95 tok/sとおおむね一致します(キャッシュ効率化などで理論値をわずかに上回ることがあります)。同じ式を新世代のメモリ帯域幅に当てはめると、以下のような理論上限になります(いずれも計算値であり、実測ベンチマークではありません)。

チップメモリ帯域幅8B Q4(約4.5GB)理論上限70B Q4(約40GB)理論上限
M6170 GB/s約38 tok/s最大メモリ32GBのため実行不可
M5 Pro307 GB/s約68 tok/s約8 tok/s
M5 Max614 GB/s約136 tok/s約15 tok/s
M5 Ultra1.2 TB/s約267 tok/s約30 tok/s

この計算式を使えば、実機を持っていなくてもおおよその性能を事前に見積もれます。ただしキャッシュ効率やソフトウェア側の最適化で実測値は前後するため、あくまで目安として扱ってください。

世代別おすすめマトリクス — 入手ルート×用途で選ぶ

「新品で買えるか」「整備済製品があるか」「中古のみか」という入手ルートと、動かしたいモデルの規模を軸にした早見表です。

入手ルート軽量AI(7B以下)中量AI(13B〜30B)重量AI(70B以上)
新品で買えるM6 Mac mini(◎)M5 Pro Mac mini(◎)M5 Max/M5 Ultra Mac Studio(◎)
Apple整備済製品M4 Pro Mac mini(◎)M4 Pro Mac mini(○)M3 Ultra Mac Studio(◎)
中古のみ(Mac Claw等)M1/M2(◎)M1 Max/M2 Max(◎)M1 Ultra/M2 Ultra/M4 Max(○〜◎)

◎=最適、○=十分実用的。同じ用途でも「新品保証を取るか」「中古でメモリ帯域幅を優先するか」でおすすめが変わります。中古で確認すべきポイントは中古Mac購入チェックリストにまとめています。

AI用途のMac購入は Mac Claw で — スペック検索と適正価格

AI用途でMacを購入する際、一般的なフリマや量販店の中古コーナーでは「メモリ帯域幅」や「Unified Memory容量」でフィルタリングして探すことができません。Mac Clawなら、AI推論に重要なスペックを条件に指定して検索できます。

  • チップ世代×メモリ容量で絞り込み:「M1 Max + 64GB以上」「M4 Pro + 48GB」など、AI用途のニーズに直結する検索が可能
  • 出品者がAIユーザー:一般フリマと異なり、出品者自身がOpenClawやOllamaの使用経験を持つケースが多く、スペックの説明が正確
  • 適正価格での取引:大容量メモリモデルが一般フリマのように過小評価されることなく、性能に見合った価格で取引される

M6・M5 Pro・M5 Max・M5 Ultraは発売直後のため、2026年9月10日時点ではMac Clawへの出品はまだありません。M1〜M4世代の構成は商品一覧から探せます。実際の動作環境の構築方法はOllama/LM Studioのセットアップ、保存先ストレージの選び方はAIモデル保存用の外付けSSD選びを参考にしてください。