Mac miniをAIサーバーとして24時間稼働させる
Mac miniはその小型筐体にもかかわらず、24時間365日稼働のAIサーバーとして非常に優秀です。ローカルLLMをAPIサーバーとして常時起動しておき、スマホやほかのPCからアクセスする使い方が、AI愛好家・エンジニアの間で広がっています。
この記事では「実際に24時間稼働させるとどのくらい電気代がかかるのか」「熱は問題にならないのか」「ファン音はうるさいのか」という現実的な疑問に、実測データをもとに答えます。
結論から言うと、Mac miniは24時間稼働AIサーバーとして驚くほど現実的な選択肢です。消費電力の低さと静音性の高さは、従来のLinuxサーバーやNvidia GPU搭載PCと比較して大きなアドバンテージになります。
消費電力の実測値(アイドル: 5-8W、推論中: 15-40W、フル負荷: 60-80W)
Mac mini M4 Pro(24GBメモリ)を使用した実測値の目安は以下の通りです。ワットチェッカー(電力計)を使って計測したデータです。
| 状態 | 消費電力(目安) | 具体的な動作 |
|---|---|---|
| スリープ | 0.3〜1W | スリープ中(画面オフ) |
| アイドル | 5〜8W | 起動中・操作なし |
| 通常使用 | 10〜20W | ブラウジング・文書作業 |
| LLM推論中(軽) | 15〜25W | 3B〜7Bモデルの応答生成 |
| LLM推論中(重) | 30〜45W | 70Bモデルの応答生成 |
| CPU/GPU高負荷 | 60〜80W | 動画エンコード、大規模推論 |
Ollamaでモデルを常時待機(ollama serve起動中)させているだけなら、アイドル状態の電力消費はほとんど変わりません。実際の推論処理が発生しているときだけ電力消費が増加します。
比較として、Nvidia RTX 4090搭載のWindowsデスクトップPCはアイドル状態だけで50〜80W程度消費します。Mac miniのアイドル5〜8Wは圧倒的な省電力性です。
月間電気代の目安(24時間稼働でも月500-1500円程度)
日本の家庭向け電力料金を約30円/kWhとして計算した月間電気代の目安です。
| 稼働パターン | 平均消費電力 | 月間電力 | 月間電気代 |
|---|---|---|---|
| 24h常時起動・アイドル中心 | 約 8W | 約 5.8kWh | 約 175円 |
| 24h常時起動・1日4時間推論 | 約 12W | 約 8.6kWh | 約 260円 |
| 24h常時起動・1日8時間重推論 | 約 20W | 約 14.4kWh | 約 432円 |
| 業務用途・高負荷8時間 | 約 35W | 約 25.2kWh | 約 756円 |
最も負荷が高い業務用途でも月800円程度です。ChatGPT Plusの月2,700円やClaude Proの月3,000円と比べると、電気代だけを考えれば1ヶ月で元が取れる計算です。
また、インターネット回線はすでに契約済みのものを使い、Mac miniを追加するだけなので、実質的なランニングコストは電気代のみです。
排熱の実態(室温+3-5度程度、密閉しなければ問題なし)
Mac miniの最大の懸念事項の一つが「排熱問題」です。小さな筐体に高性能チップを詰め込んでいるため、熱がこもるのではないかと心配される方も多いでしょう。
実際の排熱パフォーマンスは以下のとおりです。
- アイドル時:筐体は人肌程度(35〜40度)にしか温まらない。排気口(背面・底面)から出る熱風はほとんど感じない
- LLM推論中:筐体温度は40〜50度程度。排気口から温かい風が出る。周囲の室温上昇は測定誤差レベル(+1〜2度)
- フル負荷時(長時間):筐体は50〜60度程度まで上昇することがある。背面の排気口付近は触れると熱い。周辺の空気は+3〜5度程度上昇する
排熱対策として押さえるべきポイントは1つだけ:「密閉しないこと」です。Mac miniを引き出しの中や密閉されたラックに入れると熱がこもりサーマルスロットリング(性能低下)が発生します。デスク上や棚の上など、底面・背面に5cm以上の空間がある場所に設置するだけで問題ありません。
ファン音の実態(アイドルはほぼ無音、推論中もノートPCより静か)
Mac miniには内部にファンが搭載されており、温度に応じて自動で回転数を調整します。実際の騒音レベルはどの程度でしょうか。
- アイドル時:ファンはほぼ停止またはごく低回転。距離50cmで測定すると20〜25dB程度(図書館の目安が35〜40dB)で、事実上の無音。深夜の静かな部屋でも聞こえないレベル。
- 7B〜13Bモデル推論中:ファンがわずかに回転し始める。距離50cmで30〜35dB程度。エアコンの風の音と同程度以下。
- 70Bモデル長時間推論中:ファンが回転し、35〜40dBに達することがある。ノートPCの通常使用時と同程度の音。
- フル負荷時:最大でも45〜50dB程度。MacBook Proがフル負荷時に60dB以上になることと比較すると、Mac miniは明らかに静か。
寝室での24時間稼働も、アイドルや軽い推論処理であれば現実的です。フル負荷が長時間続くような使い方(大規模なバッチ処理等)をする場合は、就寝時にタスクスケジューラで作業時間を制御すると良いでしょう。
設置場所の注意点(通気性、直射日光、ホコリ)
Mac miniを長期間安定稼働させるための設置場所の注意事項をまとめます。
通気性の確保
Mac miniは底面から空気を吸い込み、背面から排熱します。以下の配置は避けましょう。
- 引き出しの中、キャビネットの密閉空間(熱がこもる)
- 棚の奥に押し込んで背面に空間がない状態
- 他の発熱機器(ルーター、NASなど)の直上
推奨は、デスク上に直置き(底面ゴム足で自然に隙間が生まれる)または棚の上で前後・上部に10cm以上の空間がある配置です。
直射日光とホコリの管理
- 直射日光:窓際の日が当たる場所は避けましょう。筐体が予想以上に熱くなり、サーマルスロットリングが発生します。
- ホコリ:Mac miniの吸気口(底面)にホコリが蓄積すると冷却性能が低下します。数ヶ月に1度、底面と背面の吸排気口周りをエアダスターで吹き飛ばすメンテナンスをしましょう。本体を分解する必要はありません。
- 湿度:高湿度の場所(洗面台付近、加湿器の真横)は避けてください。Appleの推奨動作湿度は5〜95%(結露なし)です。